胎内帰省

私はジブリとディズニーに育てられた。

というのも、幼い頃は病気がちで、幼稚園での出来事より、居間で看病されながら何度も見返したアニメ映画の印象のほうが強いから。今でも古い振り子時計のカチ、カチという音を聞きながらアシタカがタタリ神に矢を放つシーンを見ていたことを鮮明に思い出せる。

 

先日イオンシネマで2500円のワンデーパスポート(5本まで見放題、ドリンクは一部を除き10杯まで無料)がある、しかもジブリ4作品がリバイバル上映中!という情報を聞きつけ、早速「風の谷のナウシカ」、「もののけ姫」、「実写版美女と野獣」を観てきました。「千と千尋の神隠し」は時間の都合が合わず、「ゲド戦記」は・・・これについて言及するのはやめておこう・・・ということで、大好きなエマワトソンの歌声で締めることに。

 

ジブリ作品は誰かが「弓を放つ音からして違う」と表現していたけど、まさにその通りで、芝生を踏みしめる音、剣と剣がぶつかり合う音、そして久石譲の音楽。全てがこれまで何度も見返したあの作品たちとは全く別物に思えた。公開当時(1980年代!)にこれを映画館で観た人たちの衝撃は凄まじいものだったと思う。テレビ画面では100%感じ取ることのできなかった作品の魅力を全身に浴びられた喜びと、大人になった今だからこそわかるキャラクター同士の利害関係、それに巻き込まれ困惑しながらも自分の過酷な運命を受け入れる主人公たちへの感動でぼろぼろと涙が流れ、エンドロールが終わってもしばらく立ち上がることができなかった。

 

ナウシカもアシタカも、人間の強欲さによって人生を変えられ、死の危機すら迫る中でその運命を受け入れるどころか、誰も呪わず、負の連鎖を断ち切るための妥協点を模索し、目の前の人間に愛を持って手を差し伸べている。2人に共通する母性性のようなものに包まれ、どきどきしているのに胎内にいるかのような安心感を同時に味わっている自分に驚いた。

 

2020年になった今も、これだけ強烈に反戦、反自然破壊、というかもはや人類滅亡したほうが良いのではくらいメッセージ性のある作品で宮崎駿以上のものを作れる人は見たことがない。いるなら教えて。

 

あと子どもの頃は疑問にも思わなかった点について考察を読み漁り何度でも楽しめるのも駿作品の良いところですよね。玉の小刀とか、玉の小刀とか・・・

 

以上です。